貴腐人ローザは陰から愛を見守りたい

11月 21, 2020

掲載サイト:小説家になろう 作者:中村 颯希

物語導入部

ローザは、その美貌と慈愛深さで知られる伯爵令嬢。しかし実際は、薔薇愛、つまり男同士の恋愛に妄想をたぎらせ、己の萌えを追及しまくる貴腐人であった。
そんな彼女の夢は、修道女となって「聖書」を記し、大陸中に薔薇愛を広めること。
未来の出家に備え、修道院に寄付したり(賄賂)、識字率向上に努めたり(布教の下準備)、領民のために腐葉土を作ったり(腐らせるのが得意)して過ごす彼女だが、十四歳のある日、異母弟のベルナルドと出会ってしまう。
彼こそは理想の「受け」、千年に一人の逸材だと断定したローザは、「ベルたん総受け計画」を策定し奮闘。しかしその腐りきった振舞いはことごとく高潔な行いと勘違いされ、王子や王女、さらには異国の王子まで巻き込んで、国中に影響を与えることとなり――?
貴婦人の中の貴婦人、高潔と慈愛を司る「薔薇の天使」とあだ名された、ローザ・フォン・ラングハイムの物語。

~ここまで

ローザ・フォン・ラングハイム

本作主人公

ラングハイム伯爵領の当主の娘

ミルクのように白い肌に、滑らかな頬、可憐な唇。

蜂蜜色の髪で淡い紫の瞳を持つ絶世の美少女

恋愛方面の趣味嗜好が、薔薇愛、つまり男同士の恋愛に偏っている。

その妄想力のたくましさから気絶する癖があり、その儚い容姿も相まって

病弱・男性恐怖症と周囲に勘違いされている。

ベルナルド・フォン・ラングハイム

ローザの弟

ラングハイム伯爵領の隠し子

ローザの理想、千年に一人の逸材

貴族的な風貌であどけない美貌をたたえられ、下町では「下町の天使」とあだ名される。

しかし、その綺麗な顔とは裏腹に苛烈で腹黒い性格をしている。

ローザと触れ合う内に変わっていき(騙され?)、ツンデレからヤンデレへと正常進化した。

レオン・フォン・ベルクヴァイン

ベルク王国の王子であり、次期王と目される青年。

男らしく整った顔に、精悍な体つき。

少し癖のある短い髪は、まるで燃える太陽のような黄金色をしていて、中でもひときわ目を引くのは、その力強い、金色の瞳。

その瞳は他者を魅了する強力な力をもっており、そのことから人間不信、厭世的な性格をしていた。

作中の中ではかなりの常識人。俺様枠

カミル・フォン・グートハイル

ベルク王国公爵家の長子であり、宰相の息子。

癒力を持ち、王子の側近兼、騎士団中隊長

冷静で落ち着いた性格をしており、人当たりも良い。

クリス・フォン・ベルクヴァイン

ベルクの後継者と目されていたこともあったベルク王国第一王女で歳は13歳。

性格は闊達で勤勉

金髪緑瞳の優れた容姿と、大地や火を操る魔力を持ち少年のような恰好をしている。

その能力から他者の嘘を見抜く力があり、人間不信に陥っていた。

正統派ツンデレ

ラドゥ・アル・アプタン

ベルクに征服され、この王宮に連れて来られたアプト族の癒術師

癖のある黒髪に、褐色の肌。彫りの深いエキゾチックな顔立ちと、王国内ではまず見られない、白い長服を身にまとっている。

常に飄々としていて、その境遇からも周りに溶け込めないでいるし、自ら溶け込むつもりもない。

賑やか、エキゾチック枠

アントニー神父

聖ユリア小王国の神父

光の加減で銀色にも見える灰色の眼・髪おしており、銀縁眼鏡がアクセント。

その高貴な輝きと、聖母の紋章をあしらった聖衣から、一部では「百合の使徒」とあだ名される美貌の神父。

実は過去に社交界から追放されたローザの叔父。

百合の使途でローザのライバル的存在。

ドロテア・フォン・ベルクヴァイン

ベルク王国王妃でありレオン、クリスの母。

緩く波打つ金髪と、くっきりとした緑の瞳の美女。

フェイ

ベルナルドの下町での幼馴染で元相棒

黒曜石のような瞳と長い黒髪、わずかに黄味がかった肌、切れ長の一重の目は、ベルクではあまり見かけない、東洋的な美しさを感じさせる

寡黙・ツンデレ

主要登場人物

ふつつかな悪女でございますが無欲の聖女は金にときめくで有名な、中村 颯希さんの勘違い系の良作。

薔薇系・百合系の趣味が炸裂するかなりマニアックな作品です。

ふつつかな悪女ではございますがでは鋼メンタル・おっとり主人公、無欲の聖女は金にときめくでは金にがめつい主人公でしたが、こちらの作品では腐女子です。

主人公の傾向が違うだけで似たような作品(いい意味でも悪い意味でも)と思っていたのですが、作者の知識と教養、取材力に脱帽せざるをえません。

よくこんなくだらないふざけた内容で(誉め言葉)物語を盛り上げていけるなと感心しました。(とにかく無駄な語彙力がすごい。)

特に印象に残ったのは

・王女とのお茶会

ここで主人公は色々と深読み、勘違いして偶然にも王女の悩みと真実を言い当てるのです。

勘違い系では王道の流れではありますが、

その際に用いられた人気小説の解釈から想像を膨らせていく様が非常にウィットに富んでいて、単なるご都合主義の作品とは一線を画しているなと非常に印象に残りました。

・下町の子供達への勉強会

こちらでの教育の仕方も他の小説ではあまり見られない、興味深いものでした。

ローザのセリフで

「絵画であれ、小説であれ、噂話であれ。わたくしたちが見聞きしているものは、すでに誰かの編集が加わったものであること。それを理解し、その意図を考えることを、『想像』、または『解釈』といいます。これができる人間は、ほかの人より数倍、豊かな人生を生きることができる」

とあるのですが、文章の行間を読む、想像を膨らませていく、これは物語を読むだけでなく書いていく場合にも必要な能力で、この能力がないと面白い小説は書けないんだろうなと深読みしてしまいました。

主人公は自分の趣味である薔薇を布教するためにこういった努力を行っていくのですが、勘違いだけにとどまらず、実際に役に立つだろうと思われる点が多々あるのも興味深い。

単なるマニアックな作品ではないなと感心させられました。

良かった点

マニアックな題材ながらも、説得力がある勘違いの数々が新鮮だった

悪かった点

唐突に終わったこと(主人公はどこ行った?)

おすすめ度 ★★★★☆

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